「なんで自分のギガを使う必要が?」賛否両論のスマホ注文。“スマホありき”のサービスに疑問も

飲食店やカラオケボックスでは、もはや「ご自分の携帯から注文を」という店があとを絶たない。備え付けのタブレットから注文するならまだ分かるが、客の携帯を使わせるというのはどうなのだろうと思う人もいるはずだ。
コーヒー1杯なのに……
「いちいち面倒。カラオケボックスで人数が多ければしかたないかもしれないけど、1人のときでも室内からスマホで注文してと言われると、『コーヒーだけでいいんですけど』と言いたくなる」
カリナさん(30歳)はそう言う。趣味の楽器の練習のためにカラオケボックスをよく使うが、室内に入ってから携帯で注文するまでの時間だって使用時間に入ってしまう。ギガが少なくなっているときや電池残量が少ないときはイラッとすると笑った。
「居酒屋などでは特に、客の携帯を使わせるなら少し割り引きするとか、そういうサービスがあってもいいですよね。私は面倒だなと思うタチだから、友達がいれば友達にやってもらっちゃいますけど、その人の電池や電波を使っては悪いと思うので携帯は私のを使ってと言っています」
若い世代でもこうなので、年齢が高くなればなお「面倒」はつきまとう。
店員とのやりとりがなくなるのは寂しい
「備え付けのタブレットなら対応しますが、自分のスマホを使えとはどういうことなんだと内心思っています。人手不足なのは分かるから文句は言わないけど、オジサンばかりで行ったときは、あれやこれやで大変ですよ。職場の仲間と行くと、一番若い50代前半の僕がやらされるの(笑)。そもそも老眼で携帯さえ見たくないのに」
タダシさん(52歳)は苦笑した。確かに居酒屋などで年配男性が集団でスマホ片手に注文しているのを見ることがあるが、かなり大変そうなグループもいる。
「やっぱりお店の人がテーブルに来てくれて、これはどういう味なの、量はどのくらいと聞いたりしながら注文するというのが飲食店の基本なんじゃないかと思うけど、そういうことを言っていられない時代なんでしょうね」
店の人と客とのやりとりがなくなりつつあるのは寂しい。だが「反対派」といえども、受け入れざるを得ないと諦めているようだ。
待たせる罪悪感がなく気楽
もちろん賛成派もいる。
「人手不足ならしょうがないでしょ」という受容派から、「積極的に賛成」という人まで幅広い。
「以前、7人ほどで居酒屋に行ったとき、みんなてんでに注文するからお店の人がテンパってしまって気の毒になったことがありました。スマホで注文だと、こちらも店の人を待たせているという罪悪感なしにゆっくり考えられるし、追加注文も気楽だなと思います」
サトエさん(40歳)はそう言う。ましてや子連れの場合などはスマホ注文の方がいいとさえ話す。
「9歳と6歳の子がいるので時々家族でファミレスに行きますが、どうせ行くならスマホ注文ができるところへと考えてしまいます。上の子が注文に時間かかるんですよ、あれやこれやと悩んでから決めるタイプだから。店員さんが来るとどうしても急かしてしまうけど、スマホ注文なら上の子の分は飲み物だけにして、少し遅れて注文してもいいから気が楽です」
“人を待たせる”ことに対して、現代人は過敏である。それはイコール人に迷惑をかけていることにつながるからだろう。互いに少しくらい待っても待たせてもいいのではないかというふうにはならないようだ。
スマホを使えない人への配慮も
サトエさんも自分のスマホの通信容量が少なく、まして充電池を忘れたときなどは困ったと思うこともあるが、スマホ注文の便利さはそれを上回るという。
「そもそも若い子みたいにスマホをしょっちゅう使っているわけでもないので、注文くらいならかまわないという感じですね。それよりやはり店員さんを待たせたりする方が嫌です。私自身、以前は、もうちょっと待ってくださいと言えずに焦って注文して、やっぱりあっちにすればよかったということがよくあった。スマホ注文なら後悔せずにすむなあと思っています」
賛成派、反対派、それぞれの意見も納得がいく。ただし、スマホを使えない高齢者、スマホを持っていない人への配慮も今後は必要かもしれない。サトエさんは、そういえばと話してくれた。
「母が行っている大学病院では、待ち時間をLINEで知らせてくれるシステムがあるんですが、母はスマホを持ってないんです。なんとか別の方法はないかと尋ねても無理らしくて。待ち時間が長いので、その間、有効活用したいのにと嘆いていました」
こういう不平等はなんとか考えてもらいたいものだ。
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